胆嚢粘液嚢腫という病気

今回は手術の画像などがありますのでご理解の上ご覧下さい(血液や手術などに弱い方は閲覧をご遠慮下さい)

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胆嚢粘液嚢腫とは、胆嚢内に過剰な粘液が貯留し、悪化すると総胆管の閉塞や胆嚢の破裂が生じる病気です。

胆嚢とは、肝臓で作られる胆汁(消化液)を一時的に蓄える袋状の器官です。

食物を食べると胆嚢が収縮し、これにより胆嚢内に溜まった胆汁が総胆管という管を通って十二指腸に吐き出されます。

分泌された胆汁は、膵臓の消化液などと一緒になり、食べ物中の脂肪分を消化吸収されやすいよう乳化する役割を担っています。

ところが、何らかの異常で胆嚢内に胆汁成分が変質して結晶化したもの(胆石症)や、胆汁成分が変質して泥状になったものがたまる(胆泥症)ことがあります。

これらの異常が進行していくと、胆嚢粘液嚢腫になってしまうといわれています。


今回のワンちゃんは「ご飯を食べない」と言う事で来院されました。


超音波検査で胆嚢粘液嚢腫が認められ、一部胆嚢が破裂している所見が得られたため手術に踏み切りました。


破れた胆嚢から胆汁が漏れ出ています。



摘出した胆嚢と胆嚢の中身


通常、胆嚢の中にはさらさらの胆汁が入っていますがこのワンちゃんの胆汁は寒天状に変化していました。


漏れた胆汁により腹膜炎も起しており、手術後しばらく入院生活が続きましたが元気に退院していきました。


胆嚢破裂による腹膜炎は致死率50%とも言われており、破裂する前に胆嚢を摘出してあげることが理想的なんですが破れてはじめて症状がでるため発見が遅れることが多い病気の一つです。