胃の内視鏡検査

今回のワンちゃんは、「嘔吐と黒いウンチ」という主訴で来院されました。


「黒いウンチ」は胃などの上部消化管からの出血がある時に認められる症状であり、その辺りを中心に検査を行うことにしました。




レントゲン検査では「胃の拡張」の所見が得られました。




このワンちゃんは食欲がなく、嘔吐している状態なので、通常は胃は空っぽのはずなのに拡張しているということは異常所見になります。





異物や通過障害を疑いましたので次に超音波検査を行いました。

超音波検査では「幽門」という胃の出口が肥厚(胃の壁が厚くなる)しており、これが今回の症状の原因であると考えれました。





この胃の肥厚が腫瘍性のものなのか、炎症性のものなのか、それ以外のものなのかによって治療法や予後が違うため確定診断のために内視鏡検査を行いました。








超音波の所見の通り、幽門部が赤く腫れて所々出血しており、これが原因で胃から食べたものが出ていかず嘔吐し、出血によりウンチが黒くなり貧血が起こっていることがわかりました。



腫れてる部位の組織を採取し、病理組織検査を行った結果「炎症によるもの」という結果でしたので、炎症を抑える治療を行い嘔吐や出血も改善してくれました。




内視鏡検査が行えない場合は、開腹手術により組織を採取するか、胃を切除してしまうかの手術になっていたと思います。


あらためて内視鏡検査の重要性を感じた症例でした。