新しい電気メスとシーリングシステムを導入 その3

今回は新しく導入した「シーリングシステム」についてご紹介いたします。

「シーリングシステム」とは、糸を使わずに血管をシール切断できる器械です。

これにより手術時・手術後、動物への負担を減らし安全性を高めることが出来るようになりました。


具体的には
1.縫合糸反応性肉芽腫の予防
2.手術時間の短縮
3.麻酔時間短縮による負担軽減


縫合糸反応性肉芽腫とは?
手術時等に体内に残った糸が原因で起こる「異物反応性肉芽腫」という病気があります。
去勢・避妊手術等で、溶けない糸(絹糸やナイロン糸)等で結紮すると、その縫合糸は体内に残ります。
ところが、この残った糸がひきおこす「縫合糸反応性肉芽腫」が問題になってきています。
症状としては、手術部位が半年から数年後に腫れてきたり、膿んでくることがあります。これは体内の残った糸に過剰な異物反応することによる結果としておこります。再手術でうまく原因が取り除けると落ち着きますが、場所によると手術による切除が困難となり、ステロイド免疫抑制剤を一生投薬する必要が出て来ることがあります。

そういった、縫合糸反応性肉芽腫はミニチュアダックスフントを中心に様々な犬種(雑種を含む)・猫種で報告されています。また、溶ける糸(数週間で体に吸収される糸)を使用していても起こることがありますので、注意は必要になります。予防策としては糸を使わないことになります。




導入後1ヶ月間で使用した手術症例をご紹介いたします。


去勢手術



避妊手術




脾臓腫瘍の摘出




去勢・避妊手術では「縫合糸反応性肉芽腫」の予防のために、「体の中では縫合糸を使用しない」手術が可能になりました。


脾臓手術では、脾臓の血管の処理に縫合糸だと20分〜30分かかっていたのが、シーリングだと5分もかかりませんので手術時間の短縮になります。




今回の2つの手術機器は、「より安全に」「より早く」を可能にすることで、手術をうける動物たちの負担を小さくしてくれます。