脇に出来た腫瘍
このワンちゃんは「わきの下が膨らんできた」ということで来院されました。
針を刺して細胞を吸引し顕微鏡で見てみると、脂肪の細胞がいくつか採取されていました。
「脂肪腫」という良性の腫瘍の可能性が高いとお伝えしました。
では良性だったら放っておいてよいのでしょうか?
脇の下には大きな血管や前脚の神経がたくさんあるので、今回の腫瘍が大きくなってくるとその血管や神経を巻き込んだり、圧迫すると歩行障害などの問題が出てくることが予想されました。
良性だと手術せずに経過観察する場合もありますが、今回は飼い主さまと今後のことを考え、早期に手術して摘出することになりました。
摘出中の腫瘍とその近くを走行する神経
それほど大きな神経ではありませんが出来るだけ温存(傷つけないで残す)してあげたほうが手術後の合併症が少ないと思います。
今回は早期に手術を行わせて頂きましので、血管や神経などの大事な組織を傷つけることなく無事腫瘍のみを摘出することができました。
うちに来られてる他のワンちゃんにバスケットボールほどの大きさの脂肪腫が脇に出来ている子(体重50kg以上の大型犬)がいます。他院で良性だから手術しなくても良いと言われ数年で今の大きさになったそうです。現在、痛みはないようですが腫瘍が大きく歩きづらい様子です。今となってはその大きさと脇の下で大切な組織(血管や神経)を巻き込んでいることが予想されるため、前脚を残して腫瘍だけを取りきるのは難しいと判断しております。
良性なので命には関わりませんが生活の質が落ちていますので、そういう問題が出る前に、もしくはそうなることが予想されるのであれば早期に問題を解決してあげることが大切だと思います。