大腸の内視鏡検査

今回のワンちゃんは、血便(大腸性下痢)でお薬を投与すると改善するが再発を繰り返していました。

飼い主さまと相談し、まだ若い子なので元気なうちに詳しい検査として大腸の内視鏡観察と内視鏡下での組織検査を行いました。



前日から食事を抜いて頂き、浣腸・腸洗浄後に内視鏡を肛門より挿入し大腸を観察しました。

粘膜の凹凸が強くところどころに出血している部位がありましたがポリープや腫瘍を疑うような物はありませんでした。

出血している部位、正常に見える部位を含めて10ヶ所ほど組織を採取しました。







組織を採取するためのカンシ




カンシの先端が刃物のカップ状になっており、組織を摘んで引きちぎるように採取します。





採取した組織





採取した組織の病理検査を行いどのような原因なのかを調べます。



「嘔吐」や「下痢」などの消化器症状で来院される動物はとても多いですが、その多くは一過性でお薬や点滴の投与で改善していきます。

ただその中に通常の治療では「症状が改善しない」「改善するが再発する」ことがあります。

そのような動物達には詳しい検査が必要になります。

内視鏡は異物の摘出だけでなく、食道・胃・腸の詳しい組織検査を開腹手術をせずに行うことができます。

もちろん内視鏡より開腹手術の方がよいと判断されるケースもありますが、たいていは負担の少ない方から順番に検査を行うべきだと考えています。



今回の組織検査で「リンパ球プラズマ細胞性腸炎」と診断できましたので、ステロイドでの治療を開始しました。

人間でもそうですが、ステロイドは副作用が多い薬です。

診断がついてないのに(組織検査をせずに)ステロイドをやみくもに処方することはよくありません。

しっかり診断をつけ、その診断に基づいて投薬するようにしないと逆に動物たちを苦しめる結果になることもあります。





当院のホームページのTOP画面より内視鏡ページへのリンクを貼りました。

下記からもどうぞ

http://d.hatena.ne.jp/minvet/
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