歯のエナメル質形成不全という病気

デンタルケアを希望され来院されたワンちゃん、見せていただくと歯石の沈着もあるのですがどうやら「エナメル質形成不全」も数箇所あるみたいなので麻酔下でのデンタルケア後に詳しく見せていただき処置させていただくことになりました。


「エナメル質形成不全」とは猫より犬に多く見られる病気であり1〜4ヶ月齢の永久歯歯冠形成期に起こったエナメル芽細胞に対する障害の結果生じます。
外見的には歯の一部が茶色に着色します。エナメル質が欠損しているために破折(歯が折れたり)や知覚過敏を示します。これに対する治療として、歯質の保護、知覚過敏の防止、歯冠形態の回復として予防歯科処置後、コンポジットレジンなどでの歯冠の修復を行いました。


処置前 ところどころ歯の一部が欠けたようになっており茶色く変色しています。





デンタルケア(歯石除去・歯周ポケットの掃除など)後に患部を少し削ります。





レジンを被せて保護します。






余分なレジンを削った後に研磨して形を整えて完成です。





今回の写真は犬歯1本だけですが、このワンちゃんは他の犬歯や奥歯にも同様の病変があり同時に処置を行いました。


処置前は「知覚過敏」があったと思いますが、なかなか動物たちは感じていても飼い主さんが気がつくことはほとんどないと思います。

動物たちは人間よりも定期健診の重要性が高いんだなと再認識させられる症例でした。