破折した歯の治療

「破折」とは、「歯が折れる」ことを意味します。


ワンちゃんで一番多い歯の破折の部位は、上顎第4前臼歯(上顎の奥歯)の部分です。


どの部分かわかりますか?




こたえ



このまま放置した場合はどうなるのでしょうか??








神経から細菌が侵入して、顎の骨を溶かして最終的に頬っぺたが腫れて膿が出てきます。


この頃には痛くてご飯も食べれなくなる子も多いです。


こうなってしまうと歯を抜いて治療するしか選択肢がなくなってしまいます。


では、そうなる前にどのように治療すればよいのでしょうか?


悪化する前に抜歯してしまうのも一つの治療ですが、この歯は食べ物を噛む歯なので、とても大切な歯なのです。


では抜歯せずに治療するにはどうすればよいのでしょうか?


答えは、「歯の中の治療を行う」です。


しかし、歯の治療には歯科専用の治療器具や歯科のレントゲン撮影が必須ですので、どこの動物病院でも行えるわけではありません。


次回より、治療について詳しく書いていこうと思います。

新しい歯科デジタルレントゲン

「アールエフ」という人の歯科レントゲン業界では有名な会社の「デジタルレントゲンセンサー」を新しく導入いたしました。

こちらのレントゲンセンサーで撮影した画像は、スマホのような子機端末に表示されます。




画像の処理も子機端末で行うことができるため、かなり効率よく歯科の治療ができるようになりました。



歯科用のレントゲン発生装置に取り付けて使用しており、撮影後すぐに画像を確認することができます。





これらの機器は手術室に設置してあり、麻酔下での歯科治療となる動物たちを動かすことなく治療中にすぐレントゲンが撮影できるようにしてあります。



よく歯科を専門とされておられる獣医さんがおっしゃる「骨折の治療にレントゲン撮影が不可欠であるのと同じように、歯科治療にもレントゲン撮影は不可欠である」という言葉はごもっともだと思います。

当院では根管治療などの歯内治療も行っているため、歯科用レントゲン装置はなくてはならない大切な医療機器の一つです。

歯科治療に関して

10月は、手術日を実施する日(月・火・木・金・土)が22日あり、そのうちの半分である11件の歯科治療がありました。

最近では、琵琶湖の対岸にお住まいの方や東近江市辺りから歯科治療を希望され、遠方より来院いただくケースも増えてまいりました。



そのため当院では、歯科治療をさせていただく動物たちの増加に伴い、効率よく歯科治療が実施できるように新しく歯科の医療機器を導入いたしました。

まずはほとんどの歯科治療を実施するときに行う、デンタルケアのための超音波スケーラーを2台に増やしました。





歯石除去を行う場所(歯表面、歯の隙間、歯周ポケットなど)により、先端の形状が違うさまざまなチップを使い分けています。



今までは1台で、チップを交換しながら治療をしていましたが、2台あることでチップのローテーションや超音波の強度設定の変更などに伴う時間を短縮することができました。

万が一、スケーラーの調子が悪くなったときの予備としても、2台あると安心して治療がおこなえます、特に動物の歯科治療は全身麻酔をかけているため機械のトラブルは恐ろしいです・・・。


新しい方は、先端にライトが内蔵されているため、奥歯など狭いところを処置するときに便利です。

歯科用レントゲン装置とデジタルセンサー

歯科用のレントゲン発生装置は以前から使用していたのですが、この度フィルム式からデジタルセンサーに買い換えました。


PCとデジタルセンサー




動物では、麻酔をかけての撮影となるため、撮影・画像の確認が全て手術室で出来るようにレントゲン発生装置・ノートパソコンを手術室に設置しています。



フィルム式では現像時間に数分掛かっていましたが、デジタルセンサーでは撮影後数秒で画像がパソコンの画面に表示されます。


動物の歯科レントゲン撮影時は麻酔をかけている状態なので、現像時間の短縮は麻酔時間の短縮につながり動物たちの負担を軽減することにつながります。


また、撮影に必要なレントゲン線量も、デジタル化によりかなり減らして撮影できるようになるため、スタッフ・動物たちの被爆量も減ることになります。


他の動物病院からの歯科治療の依頼も増えてきたため、歯科のレントゲン撮影の機会も増えましたので、スタッフの放射線被曝の対策としても役立ってくれています。



次回は、実際に歯科用のレントゲン発生装置とデジタルセンサーを使って撮影したものをご紹介いたします。

歯科ユニットを導入

昨年末に、歯科ユニットを導入しました。

今までは電気式のドリルで処置をしておりましたが、今回導入したユニットは空気の力で動きます。

人の歯医者さんで使用されている物と同じですね。



エアータービン

電気式に比べて、少ない力でより早く削れるようになりました。

また、今までは助手に冷却水を掛けてもらいながら削っていましたが、このユニットでは自動で冷却水が出てくれるので作業効率がUPしました。



コントラアングル

主に歯石除去後の歯面研磨や、レジン修復後を研磨に使用しています。




3WAYシリンジ


洗浄水を出したり、エアーを出すことが出来ます。


圧縮した勢いのある空気を歯周ポケットに吹き付けることで、歯周ポケットが目視できるようになり、処置後の歯石やプラークの取り残しの確認がしやすくなりました。



一番左の物はバキュームですが、人では唾液を吸うのに使いますが動物ではあまり使用しません。

このユニットは歯医者さんが往診で使用するための物で、持ち運びができるコンパクトなものです。

小さいうちの病院にはちょうど良いです。

歯周病について その2

前回の続きです。




病院の待合室にも同じ物を掲示しております。

飼い主さまの歯周病に対する意識も高くなってきています。

また、他の動物病院からの治療依頼も増えてきました。


そのニーズに答えるべく歯科の医療機器を充実させましたので、次回よりご紹介していきます。