鼻の中のできもの

眼と鼻の間が腫れてきたとのことで来院されたワンちゃん。

くしゃみ、鼻水、鼻血などの症状もありました。

高齢であること、顔の変形があることなどから腫瘍を疑いましたので、麻酔をかけてから詳しく検査させていただくことになりました。

まず、腫れてる部位に針を刺して細胞を採取してみたのですが、取れたのは鼻水だけで腫瘍を疑う細胞は見られませんでした。

しかし、腫瘍の可能性が高いので、今度は鼻の穴からストローを奥まで入れて注射器で吸引しました。



すると鼻水ではない組織が取れ、顕微鏡で見ると悪性の腫瘍を疑う細胞が見られたため検査センターに組織を送り専門の先生に見てもらいました。

診断は「悪性腫瘍(移行癌)」でした。

外科手術は場所的に適応外であること、化学療法・放射線治療も完治する可能性がほとんどないことを飼い主さんお伝えし、今後は痛みを和らげてあげるお薬のみで経過を観察することになりました。

鼻の中にできた癌は、飼い主さんが早期に気づいてあげれる癌ではないので診断される頃にはかなり進行してしまっていることが多いです。

高齢のワンちゃんで鼻水・鼻血の症状がでたら要注意です(顔の変形はだいぶ進行してから見られます)。